青きひまわり

1990年、超大作『アトランティス』でデビューを果たし、
SF界最大の収穫と評された佐々木君紀、渾身の1冊。

【作品紹介】
ミネソタ州の生家を失い、
絶望した20歳の青年ウォルデンは、
流れ流れてテキサスの岩塩鉱山の地下坑道で働いていた。
そんな彼に会社の上司が、特別な秘密の仕事の話をもちかける。
高額の成功報酬の約束に誘われ、ウォルデンは引き受ける。
それは、岩塩鉱山の地下にある特殊な研究所を立ち退かせるというものだった。
研究所におもむいた彼は、そこでひとりの少女アイボリーと出会う。
16歳の彼女は、全身の血液はもちろん、
汗や体液すべてが塩酸や硫酸レベルの強酸という
特殊な軍事実験によって生み出された人間だった。
彼女もまた、地下に封じ込められ、自分がいまわしい存在であることに絶望していた。
アイボリーはウォルデンに少しずつ心を開いていくが、
立ち退き要求の期限が迫り、ウォルデンの上司が直接にのりこんでくる。
二人は、やむなく研究所を脱出して、用意されたカリフォルニア半島の隠れ家へと向かう。

装画/村田修

【著者プロフィール】
佐々木君紀
SF作家。武蔵大学経済学部卒。
1990年に超大作『アトランティス』全8巻でデビューを飾る。
以後、『バベルの戦士』全6巻 、『エル・ドラド』全3巻など、
密度の濃い巨大な長編作品を発表し続ける。
21世紀に移ってからは、インターネット上のサイトで自作の発表を開始する。
その過程で執筆姿勢を変えつつあり、何巻にも及ぶ長大な物語を手掛ける一方、
現在は一冊にまとまる作品を、ひとつひとつ手堅く書きあげている。