あられもない祈り

〈あなた〉と〈私〉…名前すら必要としない二人の至上の恋を描く、マスコミで話題騒然の究極の恋愛小説。

薄暗い雨の降る夕暮れ、会社から出た私の前に、あなたは突然、現れた。1年前、あなたと初めて遠出をした夏。夕暮れの海を見つめながら、「昔、置き去りにされたことがあるんです」と、あなたは静かに告げた。「私は置き去りにしたりはしないから」。そう約束した私だが、あなたの言葉は、14歳だった頃の忘れたはずの記憶を思い起こさせた。怖くなった私は、あなたを拒み、遠ざけた。だが再び出会ってしまったのだ。

再会したあなたには婚約者がいて、そして私は大学で助手をする直樹と同居していた。だがあなたの熱情に、私は次第に心ひかれて……

幼い頃から、自分を大事にできなかった主人公が、男との出会いを通して、次第に、生きるための欲望を得ていくさまを描き、山本文緒、行定勲、西加奈子、青山七恵氏に絶賛された感動作！

発行：河出書房新社

【著者プロフィール】
島本理生（しまもと・りお）
1983年、東京生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年「リトル・バイ・リトル」で第25回野間文芸新人賞を受賞。「リトル・バイ・リトル」「生まれる森」「大きな熊が来る前に、おやすみ。」は芥川賞候補作に、また『ナラタージュ』は25万部のベストセラーとなった。他の著書に『あなたの呼吸が止まるまで』『クローバー』『波打ち際の蛍』『君が降る日』『真綿荘の住人たち』などがある。

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