さよなら、地球

何の前触れもなく、ある朝、世界は緑に浸食され、
当たり前の日常は消え失せてしまった。
世界は美しく、ゆっくりと滅んでいく。
退廃的な世界の中で、
切なく自分の存在を問いかけ続ける
新進気鋭の女流作家が紡ぐ渾身のファンタジー。

【作品紹介】
ある朝、目が覚めると世界は緑に覆われていた。
突然、「僕」の日常は終わりを告げた。
緩やかに滅びへと向かう世界の中で「僕」は、
幼馴染のアオイを追いかけて旅に出る。
旅先で出会う誰もが狂気と背中合わせに、
ある者は現実に生きることをやめて懐かしい記憶の虜囚となり、
ある者は自分という存在そのものを捨てた。
旅の途中、壊れかけたラジオから、
とぎれとぎれに聞こえてくるパーソナリティの声。
その声の主を訪ねて、【僕】の旅は続く。
もはやどこにも向かわない世界の中で、
狂気と道化の狭間を行き交う人たちの祈りにも似た鎮魂歌。

装画/村田修

【著者プロフィール】
吉柳はじめ
明治大学法学部法律学科卒業後、都市銀行に入行。
商業用コラムに連載しながら執筆活動を開始。
既刊に「家族ランドリー」「白雪姫は目覚めない」がある。
音楽と廃墟と、日向で愛犬と戯れるのが好き。