プラチナ構想ハンドブック 第1部

「プラチナ構想ハンドブック」は、単行本として2012年1月に日経ＢＰ社から発行された同タイトルの書籍を第1部、第2部、第3部に分け、各々をアプリ化（電子書籍化）しました。
書籍の電子化の目的は、「知の構造化＋エコロジー＋幸せな高齢者＝プラチナ社会の実現」をより世の中に訴えていくためです。プラチナ社会とは、快適で、プラチナのように威厳をもって光り輝く社会です。人口減少、高齢化、エネルギー不足、産業の空洞化……世界一の「課題先進国」である日本が、いま取り組むべき危急のテーマです。これらの課題を自らのコミュニティーを生活の場として、暮らしを良くするために課題を克服し、創発を通じて豊かさを創り、自立共生的な生き方が出来る、そのような社会を創り上げる勇気こそが、今の日本には必要なのです。市民が主体となり自治体を場として、市民と産官学が連携して暮らしを良くして行こうというのが「プラチナ社会」です。しかしその試みが個々の地域で別々に行われるのでは大きな実は結びません。個々の知恵には限りがあるし、産業化に達するだけの巨大需要を生むのは難しいです。そこで同じ課題を持つ地域同士の連携、ネットワークが重要となります。ネットワークを組んで互いの知とアイデアを交換していけばより良い解決策も見つかります。地域の暮らしをよくする努力が、幾重にも重なり合って大きな需要となり新産業を生み、法や社会を変えるパワーともなり得ます。このような知恵の集合体の構造化がまず必要条件です。次に、エコロジー、すなわち環境との調和・共存です。そして、高齢者がいきいきと参加出来る社会であり、一生を通じて人が成長を続け、雇用がある社会です。

「第1部」では、21世紀のパラダイムを「爆発する知識」「有限の地球」「高齢化する社会」の3面から解説します。
１つ目の「爆発する知識」ですが、もし、正しい知識を、正しい場所で、正しく動員出来るとすれば、人類が望むほとんど全てのことを成し遂げることが出来るといっても、さほど誇張ではないでしょう。現在、世界が直面する二酸化炭素削減の課題にしても、地球上の人類60億人の人達全てに、人類が持つ最良、最善の知識を普及させることが出来るならば、容易に解決することが出来るはずです。
２つ目の「有限の地球」とは、それまで実質的に無限と言って良かった人類の生存基盤が、人類の活動の膨張によって明確に限界が見えてきたということです。幸いそれに対応する多くの分野において、日本は世界のフロントランナーです。高いエネルギー効率、高い資源利用の効率、環境を破壊しない技術の集積、高効率を誇る上水システムなど広範な分野で日本の技術や社会システムは世界のトップレベルにあります。
３つ目の「高齢化する社会」に関しては、世界で最も急速に高齢化の進む日本にとって、危機ばかりが強調されていますが、世界全体がそう遠くない将来に高齢社会を迎えるのです。